2015年3月23日月曜日

ストナリニZとストナリニSの違いは眠くなるかならないか

ストナリニZとストナリニSの違いについて知りたい人がいるようなので記載しておこう。
一言で言うとストナリニZは眠くなりにくい新しい薬で、ストナリニSは眠くなりやすい古い薬を
使っているのが最大の違い。

ストナリニZの有効成分はセチリジン(cetirizine)という第二世代抗ヒスタミン薬に分類される成分。
ストナリニSの有効成分はクロルフェニラミン(chlorpheniramine)という第一世代抗ヒスタミン薬
に分類される成分だ。

花粉症の薬はよく眠くなると言われるけど、それは第一世代抗ヒスタミン薬が主流だった頃の
話で、昔は病院での処方だけが許されていた第二世代抗ヒスタミン薬が市販薬として買える
ようになってからは、眠気の副作用はだいぶ改善されてきている。

参考までに抗ヒスタミン薬の鎮静作用、つまりは眠くなりやすさを比較した資料があるので、
それを紹介しておこう。
http://medical.radionikkei.jp/suzuken/final/101230html/index3.html

ストナリニZの成分は、上から5番目のCetirizineと書いてある0.193の数値のデータだ。
ストナリニSの成分は下から3番目、Chlorpheniramineと書いてある1.956の数値のデータだ。
つまりこの指標で言うと、ストナリニSはストナリニZの10倍眠くなりやすいというわけだ。

じゃあストナリニZとストナリニS、どっちのほうが効くのかという部分が気になると思うが、
眠くなるくらいだからストナリニSの方が効くのかとおもいきや、効き目は同じくらいというのが
間接的にデータが示されている。

https://www.carenet.com/news/24225
この記事は、ストナリニSの成分から眠気成分をちょっと取り除いたd-クロルフェニラミン
という第一世代抗ヒスタミン薬の成分と、第二世代抗ヒスタミン薬の一つである
ベポタスチンベシル酸塩の眠気と効果の比較をした研究なんだけど、効果は変わらないのに
眠気はd-クロルフェニラミンの方が強かったという結論になったものだ。

ストナリニZの成分のセチリジンはベポタスチンより強いという結果もあったりするので、
つまりは効果に関しても、ストナリニZはストナリニSと同じか、むしろ強い可能性もある
というのが、これらの研究からいえることだ。


ということでまとめると、
眠気:ストナリニS>ストナリニZ
効き目:ストナリニZ>=ストナリニS
ということになるね。


さて、最後に、じゃあなんでストナリニSが属する第一世代抗ヒスタミン薬が眠くなるのか
について説明をしよう。

そもそも抗ヒスタミン薬とは何か?という話になるんだけど、これはヒスタミンという体から
出る刺激物がヒスタミン受容体にくっつくのを妨げる薬なんだ。抗ヒスタミン薬が受容体に
先回りしてくっつくから鼻水やら痒みなどのアレルギー症状が出ないで済むという仕組みだ。

ただ、問題が一つあって、ヒスタミンという物質は、脳の伝達物質としても使われている
ものなんだ。だから、抗ヒスタミン薬が脊髄を通過して脳に届いてしまうと、脳の伝達物質と
してのヒスタミンの働きも阻害することになり、眠くなってしまうという仕組みだ。

これを改善して、目や鼻のヒスタミンによる症状は抑えるけど、脊髄は通過しにくいという
性質を持ったものが第二世代抗ヒスタミン薬と呼ばれているものだ。

ということで、ストナリニSとストナリニZどちらがいいかと言えば、即答でストナリニZだ。
ストナリニSのメリットなんて値段が安いことと、夜に飲んだらよく眠れる、くらいしかないだろ。
ちなみにどっちも1日1回の薬です。ストナリニZも全く眠くならないというわけではないので、
基本的には夜に飲むべき薬ではある。


あら、、今ちょっと探してみたら、ネット上ではストナリニZ、買えないみたいね。
第一類医薬品という薬剤師から直接説明受けないと買えない薬だからということかと。
一応利便性を考えて、ストナリニSの商品リンクを置いておくけど、ストナリニZの方が
新しくてよい薬だからそっちの方がいいよという結論。薬局に置いてあるのでそっちで
買ってください。